エンジェルウォーズ
ザック・スナイダー先生の最新映画は、「マシンガンを持った『不思議の国のアリス』」らしいので観てきた。
なんか妙に不思議な面持ちになる映画であった。ドラゴンとかが出てくるようなファンタジー世界でセーラー服を着た少女が日本刀と機関銃を手にフューラーの地図奪回作戦に挑むような、デタラメかつボンクラ大喜びな絵で満ち溢れているのだが、そんな現実感など皆無な妄想アクションにも、主人公の現況やらなにやらが不思議と重なってきて、「この絵面でゲラゲラ笑ってりゃいいのか?」と戸惑ってしまうところがあった。そもそも、いったいこの物語の枠物語はなんなのか? そして物語の後味はあまりよろしくない。いったいこれは、どういう話なんだろう?
アクションは素晴らしい。どちらかというと「CGすげーな」と言いたくなるような場面もいろいろあるけれど、全体的にとてもかっこいい。とにかく、全体的にキマっている(妄想だからこそだろう)。どれだけ顔をぶん殴られても、蹴飛ばされて壁を突き破ろうとも、石畳の上で転がろうと、ダメージはあるけど擦り傷ひとつ負わないあたりも妄想だからなんだろうなあ。ちょっとネガティブなことを言うと、なんかFPSみたいな感じはあるんだよね。断片的なミッションで構成されているあたりもそういった印象を感じる。
キッチュな妄想世界の絵面もとても好み。ドラゴンと鬼と、複葉機と飛行船とパワードスーツとロボットが入り乱れる無茶苦茶な妄想世界はとにかくイカスの一言。そんななかにセーラー服の女の子が日本刀で来る敵来る敵なぎ倒していく絵面が楽しい映画だと考えておけば、まずもって間違いありません。
物語の構造も、深いことを考えさせられるというよりは、なんとなく深いことを言っているような気にさせてくれるだけであんまり深みのあるものでもないようにも思える。キッチュな絵面を楽しみつつ物語の構造であれこれ言うという、いかにも映画オタクむけの映画なのかなーという気はしないでもないのでした。
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ところで、この映画の前の予告編で、6月に公開予定という「赤ずきん」の予告編をやっていてド肝を抜かれた。ええええ、なにそれ?って感じ。「赤ずきんをハリウッド映画っぽくしてみた」というファン動画なのかと思うような謎さ。いやクオリティは高いと思うんですが、これはいったい……。