アメコミ版ガッチャマン
もう7、8年ぐらい前に何かの学会でアメリカに行ったときだかで、街角でガッチャマンのアメコミ版というのを発見しました。そのときはコレクションの第1巻だけを買いまして、帰国して読んだらわりと面白かった。けどそれっきりで、ほぼそのことを忘れてました。
先日、ふとそのことを思い出して全巻揃えてみました。ちょい古いのでお金がちょっとかかりますが、amazon.comのマーケットプレースで比較的簡単に手に入ります。
で、読んでみた感想ですが、けっこう面白かった。amazonのレビューでは「ストーリーはともかくアレックス・ロスの絵は素晴らしい」的なものがあったのであまり期待していなかったのですが。もちろんアートワークはとてもよくて、とくに表紙イラストなど異常にカッコいい仕上がりです。
ストーリーは基本的に原作と一緒で、宇宙からの侵略者である総裁X(とベルク・カッツェ)に率いられたギャラクターとガッチャマンが戦うというやつで、巨大メカもあればゴッドフェニックスもあり、科学忍法火の鳥もあるという。固有名詞はアチラのものに変わってますが、これはもともとガッチャマンがアチラで放送された時の単語と思われます。キャラクターの名前も組織の名前も全然違いますが、本エントリーではその辺は日本版に準拠してます。
基本の勘所は揃っていて、コンドルのジョーは両親をギャラクターに殺された過去を持ち、白鳥のジュンと燕の甚平は姉弟のように仲がよく、レッドインパルスの正体は大鷲の健の父親で、コンドルのジョーがバードミサイルを発射しそうになると「待て、冷静になれ」と止めるとか、まあそんな具合(このへんの設定は私も別に詳しくはないですが、ウィキペディアのガッチャマンの項など参照のこと)。
もちろん、総裁Xの正体および目的など細部はいろいろ違うわけですが。個人的にいちばんびっくりしたのはメインキャラになっている将軍というキャラ。ウィキペディアには出てこないので本作オリジナルと思われますが、本作ではガッチャマンは国連みたいな超国家組織に属しており、そこの大統領(?)のもとで南部博士がガッチャマンに指令を出すという具合。で、南部博士とは別に軍部をたばねる将軍がいまして、序盤はわりと南部博士につっかかったり対立するという流れになっています。
ところがこの将軍が途中から異常な能力を発揮し始めて、何事かと思っていると、実は将軍はある事故で死亡しており、こっちにも宇宙人が乗り移っていたことがわかる。彼らは総裁Xとは別の勢力で、ギャラクターの活動をなるべく地球で抑えておきたい事情から、南部博士やガッチャマンたちに何かと協力するようになる……というすごい展開になってました。
最後はわりと尻切れトンボ的ですが、ベルク・カッツェとガッチャマンの正面からの対決になり、窮地に陥るものの、科学忍法竜巻ファイターで撃退して勝利、みたいな流れ。ところが……という「まだまだ続くかも?」な感じを残しつつのエンドでした。このエンドは好きかも。
3巻の巻末にはウィッチブレイドとのスピンオフあり。ギャラクターが支配する地帯に潜入した白鳥のジュンにウィッチブレイドが埋め込まれて暴れまわるというストーリー。これもまあなかなか。
ちなみに例のアレもガッチャマン紹介のシーンで南部博士が言ってました。
The Gatchaman — The sudden warrior. Sometimes five, sometimes one. A living phantom, a white shadow.
「実体をみせずに忍び寄る白い影」はa white shadowなんですねー。ちなみに科学忍者隊はscientifically enhanced ninjaだよ。覚えておこう。