アメコミと縦書き横書き

This entry was posted by on Monday, 19 July, 2010

そういえば昨日感想かいたアメコミ版ガッチャマンを読みながら思ったことだけど、英語のコミックってひどく読みづらい。なんか、英語で小説を読むよりもずっと心理的負荷が高い気がする(実際には、読むのにかかる時間は小説の方がずっと長いわけだけど)。

なんでかな、というのを考えるに、「英語(非母語)を読む」っていう行為には集中を要するからなんじゃないかなっていう仮説を立てている。つまり、コミックを読むとき、絵の中から吹き出しをさがして、それをちゃんと「読む」必要がある。読んでいる間は絵とかコマ割りの流れとかに目を入れられないので、セリフを読んでいる間は全体のリズムが掴めない。これが日本語(母語)だと、コマや絵全体を見ながら日本語もなんとなく読む、ということが自然にできるようになっている。まんがっていうのはそうやって読むんだと思うんだけど、非母語で書かれたコミックの場合、絵のいろんなところに注意を集中させて移動させていく感じになって、部分部分への集中が寸断されるようになり、これが疲れるんじゃないかと。

こういう認知的行為はわりと自然に行われている。たとえば英語がずらずら並んでいる中に日本語があると、僕らは簡単にそれを見つけられる。浮き上がって見える感じがするというか。もちろん英語話者にとってはそれは逆みたいで、J-POPの歌詞とかを見ると英語の部分だけ浮き上がって、まずそれを読んじゃうような感じになるんだとか、聞いたことがある。そういう部分のはなしかなーと思っている。

あと読んでいて気づいたのは、英語は横読みだが日本語は縦読みなんだなあということ。というのはコマを読む順番のはなし。四コマまんがほどじゃなくても、日本のまんがって基本的には縦方向にコマが進んでいく感じなのかも、って思った。もちろん、日本のまんがで横方向に読むところが例外かというとそんなことは全然ないし、そういうのは自然に読めるようにコマの割り方でもって作者がコントロールしている、ってのは大前提。ただ、日本のまんがとアメコミでは読者にインストールされた基本ルールが違うのかも。だから、こういうコマ割りだと読者はこう読んでくれる、という結果が変わることがある。こういうのは実例がないと説明しづらいんだけど……ただともかく、読んでいて「あれっ」てなることが何度かあって、ああそうか、横に読むんだ、って思ったところが今回は何箇所かあった。

とはいえ、邦訳されているコミックではそう感じたことはないので、たんに本作のコマ割りがヘタなだけ、というだけの話だったりして。あと、アレックス・ロスなどは日本のまんがやアニメの影響が強い作家だから、コマ割りもそれを意識した結果、かえって日本人にはわかりづらくなってしまったという説もあるかも?

ともかく、その辺の違いはちょっと面白いところかな、と思ったり。

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