大森望編『NOVA2』
前回は言葉を濁したけど、今回は面白かった。細かな文句はあれど、それは個人的な趣味の範疇で、だいたいどれもかなり面白く読んだ。
とにかくもう驚くというかびっくりしたのは倉田タカシ「夕暮れにゆうくりなき声満ちて風」。解説ページとともに読みたい。全部は読んでないうちに小説の感想を書くのは信条に反するのだが、小説なのかどうかはわからないのでいいのかもしれない。いやもう一目で笑っちゃいましたね。中身もいくらかは読んだけど、なんともいえない感じでぐるぐるとループしていく感じが楽しい。
くだらなくてよかったのは田辺青蛙の「てのひら宇宙譚」の、とくに「邂逅」かな。それから小路幸也「レンズマンの子供」はどこか懐かしい感じすらするジュブナイルSF。ある意味でこの本に収められた作品のなかでは一番ストレートなSFかも。こういうのがあるのはいい。
曽根圭介「衝突」もよかった。破滅と絶望だけの話であり、具体性は皆無の雰囲気だけの物語だが、雰囲気がよく出ている。
というわけでNOVA2は1よりずっとお薦め。なんだか、ここに挙げなかった作品も含めて良かった。SFマガジンなんかにはあまり載っていない作家が多いのも特徴で、まえがきにあるように1が「守りに入っている」のと好対照となっていて、いいんじゃないでしょうか。
3も期待あげ。