SKY配列再訪
半年ほど前に少し書いたSKY配列だが、あの時にはしばらくして使うのをやめてしまっていた。が、この5月にSKY++配列の作者とあって話したことで、また少し気分が舞い上がり、SKY配列に再挑戦することにした。で、それから2ヶ月たち、かなりSKY配列に慣れてしまった。今は使っているマシンは基本的にすべてSKY配列を少し改造した独自配列で書いている。
SKY配列とは何か。詳しくは「SKY配列について」のページを参考にして欲しいが、ルールはかなり単純で、左手のキーに子音、右手のキーに母音を割り振る変則ローマ字配列だ。こうした配列の利点はいくつかあるが、基本的に日本語の一文字というのは子音ひとつと母音ひとつで成り立っているわけで、こういう配列にすることで自然と両手の指を交互に打鍵することになり、効率的な入力が可能になるという次第だ。
また、よくある母音の並びである、あい、うう、えい、おう、あん、いん、うん、えん、おん、などが1打鍵で入れられるため、打鍵数を減らせるという利点もある。また、SKY配列はとても単純な配列なので習得が容易であるということもあると思う。
そもそも、日本語を入力するにあたって、別に既存の英語のキーときちんと対応している必然性はないと思う。台湾の注音記号や韓国のハングルなどは、音素の部品が各キーに割り当てられているけれど、同じように左右で母音と子音を切り分けていて交互に打鍵しやすくなっている。それでもいいんじゃないか、と思うんだよね。
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前回のチャレンジでは、須藤玲司氏のSKY++配列を試してみた。SKY++配列のポイントはシフトキーを使うということにある。jが「あ」を意味するが、Jは「や」のようになる。dがさ行なので、djが「さ」だが、dJなら「しゃ」というわけ。子音の方は「っ」が前置される。Sjが「った」なわけ。
幸いにして(?)、Google日本語入力ではローマ字変換テーブルでこうした大文字に対応できる。設定から「入力補助」タブの「シフトキーでの入力切替」をオフにしておけば、あとはローマ字変換テーブルに大文字を書いておくとちゃんと動作する。ということなので、実地試験も含めてやってみたのだが、どうも違和感がある。やっぱりそれなりに文中に英単語を書くことがあり、そういう時にシフトキーの動作がこれだとやっぱりどうも不自然だと思って、そこで一旦使うのをやめてしまった。
今回、再挑戦するにあたって、このシフト方式に代わる手段はないかと考えた。GOTO方式は中指プレフィクスだが、これには違和感がある(Sの代わりにks、Jのかわりにdjとする方式)。中指はそれなりに利用頻度の高いキーだという気がするので、そこをプレフィクスにしてしまうのはもったいない。どうしたものかなと思っていたのだが、同じようにプレフィクス方式にするにせよ、中指のような便利でよく使うところではなく、小指のキーを割り当てればいいと気づいた。具体的には、右小指の右隣のキー(“、英語配列の場合は’)をプレフィクスにする。’sがSの扱いになる。’jのように母音パターンは右手の連続になるので打ちづらいということで割り当てず、代わりにや行のキーであるgを混ぜてつかう(dgjが「しゃ」になる)。二回打鍵で「っ」が入り、シフトで「ん」になる(このキーはシフトを押しても大文字小文字の変化じゃなく、違う記号になるだけなので、シフトキーでの入力切替の問題とかち合わない)。そうすると、もともとこのキーに割り当てられていたオンビキ(ー)が打てないのだが、これは普通のローマ字テーブルと同様のハイフンを使うことで妥協した。
言葉で書くとややこしいが、小指プレフィクスということなのでそれなりに単純だし、シフトキーだって小指プレフィクスみたいなものだ、と自分を説得して使ってみたところ、案外良い塩梅なので満足した。なかなか使い心地がいいと思う(自分で考えたからというバイアスがかかってそうだけど)。Google日本語入力のローマ字変換テーブルの設定をGoogle Docsにアップロードしておいたので、興味のある人はどうぞ(英語配列用ですが)。