笹公人『抒情の奇妙な冒険』

This entry was posted by on Sunday, 30 March, 2008

まあなんというかタイトルの時点で勝っている感。

これまでの歌集と違ってある種キャッチー(笑)なタイトルなため、SFとも短歌とも関係なくタイトルを目にした瞬間に「これはまあ仕方ない」という気分になって買う人も多いんじゃないかという気がする。いったい誰のジョークなのかと思ったが後書きによれば幻冬舎での連載タイトルだそうだから幻冬舎の中の誰かが考えたのだろう。

いちおう書いておくけど内容は某少年漫画とは特に関係ありません。

 

もうちょっと真面目に内容について。本書はこれまでのようなノスタルジーも混じえつつ、もっと最近の事象にまで視線を広げているのだが、実際には90年代の扱いが軽く、というより事実上存在しないに等しく、80年代まで来たかと思うとすぐに2000年を過ぎている点に違和感を感じる。この辺、作者の設定した「私」との整合性の問題なのか単に作者の視点なのか判然としないのだが。

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もう誰もいない地球の凩に舞うポスターのアインシュタイン

抒情の奇妙な冒険

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