映画の『喰いしん坊!』見たよ
というわけで昨日で最終だった『喰いしん坊!』の映画ですが、最後の回で見てきました。
『喰いしん坊!』はフードファイトまんがで、たぶんもともとVシネだった企画が評判だったし賞もとっちゃったもんでとりあえずその辺で上映だけしといて映画ってことにしときましょう風であり、興味のある人は「意外にいいものだった」と書いておくのでビデオ(DVD)になったら見るとよろしいことでしょう。
さて。
この映画ですが、前編「大食い開眼編」と後編「大食い苦闘編」となってまして、まあ出来は安いんですが意外とよくできていたし、原作にかなり忠実に作ってあったのが意外だった。あれは飛ばすんじゃないかなー、と思ってたところもきっちりこなしていた。ちなみに「開眼編」は仙台の予選まで(3巻冒頭まで)で、「苦闘編」は仙台の大会で敗退したあと黒兵衛との戦いまで。
萩原流行のハンター錠二はかなりハマッていて、この人の妙にエキセントリックでアツいところがきちんと表現されているのはさすがという感じ。一方の満太郎は、「やりたいことがわからない」という今風な悩みをもつ若者っぽい風にアレンジしてあって、河相我聞のちょっと線の細い感じとよくあっている。OKFFの面々は、当然さすがにモデルな方々は出せないのだけど(まあお亡くなりになっている方もおりますよって)、無理に似せようとしないけど雰囲気は出ててよかった。
まあ、そういうメインな方々以外のただごとでない棒読みブリとかもあるけど、まあそれも込みでいい味ですわ。
ちょっとどうかなあ、と思ったところを挙げると、「熊田がハメられるくだり、原作ではふつうにテーブルで食ってたけど、映画では個室で食べていたのでうな茶の参四郎がやってくるところが不自然すぎる」「鳥飼の体操が単に肩をぐるぐるしてるだけにしか見えん」「田中五郎の名乗りがない!」というあたりで、とくに3つめはまったくいかがなものかと。
ああでも「うなぎにお茶ってそれひつまぶしじゃネーノ?」というツッコミに応えるかのようにだれが見ても邪道な喰い方をしてくれるのは確かによかった。
ちょっといいな、と思ったのは黒兵衛編が大きく変わってるところ。原作ではまだ若いアンチャンといった風の黒兵衛は映画では盛りを過ぎた白髪まじりのオッサンになっている。で、黒兵衛の過去として、「かつては漁師だったが仲間の船に衝突してその船の漁師は死亡、子どもには片足を失なうという怪我を負わせる」という設定を加え、父親を失なわせてしまった母子のために賭け大食いをして仕送りをしてやっている、という因縁になってました。いやまあ、はっきり言って物凄くベタな展開ですが、いーんだよ、オレはベタなのが好きなんだよ。満太郎がなぜか海岸でランニングしてると、その片足を失なったガキが「アイツ(黒兵衛)は父ちゃんのカタキの悪いやつだ!」とか言ったりしてさあ。んで満太郎が「オレはあいつと戦っていいのだろうか……?」とか独りつぶやいたりするわけですよ、まあそのあと5秒で「いや、おれはフードファイターなんだ!」と決意するんですけどね。決意早すぎ。
映画として上映したのは何かの気の迷いだと思いますが、このあともいこい食堂でラーメンマン+悪食三兄弟編とか、なごやでカレーうどん勝負編とか、空念vs尾暮太郎編とか、いくらでもやれそうな気がするんでVシネでもちょっと続いて欲しい、ような気も。