山田穣『がらくたストリート』が面白い
うちの近所の本屋では、どうも好きな書店員がいるようでずーっと本屋のどこかしらに置かれていて、それなりにじわじわ売れていたというポップがあったりする、一部に大人気の『がらくたストリート』が2年半ぶりぐらいに続刊が出た。待ちぼうけるというより、どこかで作者が書くのをやめちゃって打ち切りとかだったんじゃないかと思ってた。
この漫画は抜群に面白いと思うけど、その面白さをどう伝えたらいいか……。とある山間の田舎の、子供たちと少年少女と、宇宙人と時々神様の日常。そんな感じ。淡々とした日常、時に非日常みたいな、ダラっとした生活を描くという意味では、昨今よくある日常系な漫画という括りになるかもしれないけれど、そんな括りからは逸脱するような不思議さがある。日常と非日常の境目がひどく曖昧で、区別されないファンタスティックな面もあって、そんで時にオタクネタやうんちくが混ざってたりして(今回だと「1話に金田いるらしいぞ」ってのに「かなだ」というルビがふられるとかそういうね……)、話が進んでいるんだかそうでないんだか、進めるような話がそもそもないようであるようで、いかにも不思議でワンアンドオンリーなのかもしれない。
そんななんだかよくわからないような漫画が面白いのかというと、これが面白い。
この漫画の面白さは「語り口」だと思う。この漫画は語り口が抜群だ。語り口というのは、話の持って行き方とか、掛け合いの面白さといったもので、ヒトコマをバーンと貼ってわかるような面白さとは違う。だから説明はしづらいけれど、読めばわかる。2巻冒頭の、海に行くのに駐車場に集合してうだうだしている所がすでにいい、と私なんかは思ってしまう。
おすすめです。