押切蓮介『ピコピコ少年』
ヤンマガで『でろでろ』を連載していた押切蓮介による短編集。タイトル通りゲーム少年だった子供の頃の思い出が語られる短編ばかりが収録されており、非常に同世代感を喚起させられました。
実際、作者は2009年現在で29歳だそうですが、年もかなり近いですし、住んでいたところもそれなりに近いようで(聖蹟桜ヶ丘が出てくる)、その辺がわたしに同世代感を喚起させる原因かと思います。
とはいえ、ファミコンに出会い、駄菓子屋の50円ゲームに血道をあげ、PCエンジンを探し求め、ゲームを買うために並び、ギャルゲーのイベントに参加する……といった作者の体験と、ページから立ち上るルサンチマンには、実はあんまり共感しません。わたしはゲーセンには通わない子だったし、作者のゲーム体験は基本的にわたしのゲーム体験とは当然ちがう。それでもやっぱり同世代特有の感じというのがあり、なにやら旧友と昔話を語り合うような感覚で読んでしまいました。非常に楽しいまんがでした。
秘密基地を作って友達とゲームボーイをする「秘密の城少年」が個人的には一番好み。
おっと、あんまり同世代がどうこうと書きすぎたかもしれませんが、世代的な共感なしに読むのがつらいまんがかというとそんなことはありません。そんなものがなくても、ユーモラスなエピソードや妙にテンションの高い展開なんかはいつもの通りなので充分楽しめるギャグマンガとなっています。