読書 | 乾くるみ『イニシエーション・ラブ』
>物語の主軸はシンプルだ。僕こと「たっくん」と「マユ」の恋愛物語。たっくんとマユは合コンで出会い、やがて付き合うようになる。たっくんは就職し、東京に転勤することになり、二人の間は……なんて感じ。しかし、この物語の本筋であるところの80年代な恋愛が読んでいても実につまらない。つまらないのですがしかし、だからこそ最後の一言ですべてをひっくり返すというのが効いています。よく考えて構成され、語られている本です。ああ、そういうところがミステリ的といえばミステリ的かもしれません。
>
>検証しながら再読する行為が楽しい作品なのでそれは良いのですが、帯の惹句のうち「今年最大の”問題作”かもしれません」という方はさすがに言いすぎ。ただ、読みながらの「地雷だったか……」という後悔が最後に払拭できたのは良かったです。いや、ほんと、途中どうしようかと思ったよ。
>
>折り返しのところの粗筋、編集者が書いたんでしょうが、これもまたきちんと練られています。
>
>すごい、とか主張することはないですが、乾くるみは相変わらず読者をびっくりさせることばっかり考えているようなのが良かった。
>